米国債を大量に売り続けるロシアの思惑

ロシア政府は今年に入り米国債を急速に売りに出している。2011年にアメリカの経済制裁が敷かれるとロシアは徐々に米国債の保有額を減らしはじめてきたが、今年に入ってその勢いはされに増している。3月に961億ドルがった保有額は3か月で487億ドルにまで減少し5月には149憶ドルとなった。過去11年で最低の水準だ。


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米国債は10年国債で2年毎に利子が支払われる。現在世界最大の米国債保有国は中国でその額は1200億ドル。ロシアは上位30カ国にも入っていない。ロシアは米国債を売る一方で金を買い続けておりその額は800億ドルに相当する。現在ロシアは中国を追い抜き世界最大の金の保有国になっている。

 

現在世界の決済の約80%は米ドルで行われており、米国はIMFに対して拒否権を持つ唯一の国だ。そのため経済制裁がなされている国においては金が米ドルをバイパスするのに利用される。ロシアがアメリカのドルの覇権に風穴を空けようという思惑があると考えるのは自然な事と言える。

 

ロシア中央銀行理事のエルヴィア・ナビューリニャは米国債が急減に売られる事は世界的な経済的、地政学的リスクとなり兼ねないと語る。過去半世紀に渡って度々我々が目撃してきたように米露間の冷たい戦争の脇にはそっと静かにそれを見つめる中国がいた。

世界一の米国債の保有国である中国は今後どのような動きを見せるのか、過激さをます米中間の貿易摩擦はどれほどの事態に発展するか。市場が漠然とした不安を抱える昨今、冷戦時代のか弱い中国はもうそこにはいない。

「歴史は繰り返さないが、韻を踏む」
マーク・トウェイン