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法律やプログラミングの専門知識がなくても簡単にスマートコントラクトを作成出来るサービス
”スマートコントラクト”というフレーズはテック業界では頻繁に使われてきたフレーズだが、未だに人々の生活に普及しているとは言い難い。イーサリウムのSolidityのようにプログラミング言語で記述されるものはあっても、依然として一般の人々にとってはハードルの高いものだ。
エストニアに拠点を持つブロックチェーン・スタートアップのアグレロ(エストニア)は誰でも簡単にスマートコントラクトを作成できるサービスを開発している。ユーザーはアプリ感覚でテンプレートを組み合わせて行く事で法的拘束力のある契約書を作成する事が出来るというサービスだ。平行してその情報はスマートコントラクト言語に翻訳され、ブロックチェーンに保存される。
この仕組みにより誰しもが簡単に法的拘束力のある契約書を作成する事が可能になり、尚且つその契約書はブロックチェーン上に保存されているため永久に改ざん不可能だ。実際にローンチされれば、一般の人々と”法律”の橋渡しとなるかもしれない。
AIカウンセラーの実装
またアグレロに搭載される予定のAIは 法律のパーソナルカウンセラーとして契約の履行・管理などのサポートを行う。AIはユーザーの契約状況から潜在的な利益や帰趨をアセスメントし、契約のマネージメントに関する助言を行うという構想だ。将来的にアグレロのAIは自動車保険の有効期限が迫っている事や、不必要な二重契約をしている事なども告知してくれるという。
法律の専門家達によるブロックチェーン・スタートアップ
従来、ブロックチェーン・スタートアップの多くは暗号技術者達により主導されてきた。一方でアグレロのコアメンバーには暗号技術者だけでなく弁護士などの法律の専門家達が名を連ねている事がアグレロをより一層際立たせている。彼らは創業以来、法的根拠となるスマートコントラクトの開発に注力してきた。現在のところEUの法律に準拠したシステム開発を行っているが、今後各国のレギュレーターと調整していくという。
分散型IDの登場
電子署名をする際に一番の問題として本人認証の問題が挙げられる。従来、人々は電子署名の度に相手の本人認証に労力をかけなければならなかった。アグレロは世界190か国で利用でき、普遍的で強固なセキュリティのID認証サービスを搭載する。個人のID情報はハッシュ化されてブロックチェーンに保存されるので、本人確認の作業が一段と平易でセキュアなものになる。
誰でも簡単に契約を作成、マネージメントする時代に!?
誰でも簡単に利用出来るスマートコントラクトが普及すれば、個人間の契約がより活発化するだろう。また不動産の賃貸契約や業務契約等の締結における法律の専門家の業務を減らし、人的リソースの効率的な再分配の可能性も期待出来る。アグレロのAIの性能は現在のところ未知数ではあるが、一般の人々と法律の距離が近くなり、個人が専門家の助けなしに契約の履行、管理を行うようになる未来はそう遠くないのかも知れない。