ファイナンシャルニュースは16日に公開した”BlackRock begins exploration of bitcoin”という記事にて世界最大の資産運用会社であるブラックロックが仮想通貨を調査するチームを創設した事を伝えた。ブラックロックはブロックチェーン技術を長年観察している事は認めているものの仮想通貨への言及は一切していない。それにも関わらずこのニュースが伝わると市場は敏感に反応し、同日ビットコインの価格は4%程の上昇を示した。
翌17日にブラックロックCEOのラリー・フィンク氏はブルームバーグのインタヴューにて顧客がビットコインへのエクスポージャーを求めるかもしれない時に備える必要性を感じているかとの質問に対し、「現時点ではノーだ」と答えた事により、意図的な扇動は収束した。
それだけの影響力を持っているブラックロックは2018年3月31日時点での運用資産総額6.32兆米ドル(約672兆円)を誇り日本のGDPをゆうに上回る。1988年にラリー・フィンク氏らにより設立され同社はリーマンショック後にメリルリンチの投資信託部門やバークレイズ・グローバル・インベスターズを買収しておりM&Aを繰り返す事で世界最大の資産運用会社へと成長した。日本株も20兆円以上保有しており日本企業の経営戦略にも大きな影響力を持つと言われている。
ブラックロックは早くからテクノロジーを利用した運用に力を入れており、資産運用に係る業務プロセスをサポートするシステムの”アラジン”が広く知られている。”アラジン”は資産運用プロセスを効率化し、リスク管理や分析を行うテクノロジープラットフォームだ。
またブラックロックはビッグデータやAIによる分析を積極的にファンドの運用に導入している。11日のロイターのインタビューにてブラックロック科学的アクティブ株式運用部門のジェフ・シェン氏は、ビッグデータや人工知能を活用した投資戦略により運用する資産の9割がベンチマークを上回るリターンを上げている事を明らかにしている。
「例えば、衛星画像からビル建設などに使われる金属物の量を継続的に計測し、不動産開発の進捗や経済活動の先行きを知る材料としている。またGPSデータでトラックなど商用車の台数や走行速度を把握し、産業活動の実態を知る手掛かりとしている」
積極的にテクノロジーを資産運用に導入する同社だが仮想通貨の需要復活や価格回復を期待するのは間違いなようだ。