ICOを禁止した中国のブロックチェーンに対する本気度

2017年9月、中国政府がICOを完全に禁止した事は市場に少なからず影響を与えた。ただ中国政府は新たな技術を育て世界をリードする事に関してはどこまでも貪欲だ。

中国最大級のビッグデータ・ブロックチェーン業界の重点地域のひとつである貴州省貴陽市では、2016年末「貴陽市ブロックチェーンの発展と応用」というホワイトペーパーが政府によって導入さた。また2017年2月10日、貴陽市政府は再びブロックチェンー技術と応用に関する方針を強調し、「貴陽ブロックチェーンの発展と応用」を主題にした記者会見を行った。

中国政府はICOを経済および金融の秩序を著しく乱す活動と強く糾弾する一方で、ブロックチェーン技術を発展させる事の重要性を強く認識している事が伺える。

工業・情報化部情報センターが先月20日に発表した「2018年中国ブロックチェーン産業白書」によると、中国のブロックチェーン業務を主業務とする企業は456社に達し、川上のハードウェア製造、プラットフォームサービス、セキュリティサービスから、川下の産業技術応用サービス、産業の発展を保障する業界の投融資、メディア、人材サービスなど、各分野の企業が基本的に出そろい、ブロックチェーンの産業チェーンが構築されたという。

中国国営テレビによると、中国の国務院は地方金融当局に対し、研究センターとスタートアップ企業に資金を提供し、ブロックチェーン技術の開発をスピードアップするよう命じたとしている。実際に杭州市政府は革新的な解決策に取り組むブロックチェーンプロジェクトを支援する目的で、グローバルブロックチェーンイノベーションファンドに16億ドルを投資している。

金融庁による場当たり的な規制ばかりで国家レベルでのビジョンがない日本とは対照的だ。国家のバックアップの後ろ盾得た民間企業も極めて楽観的かつ自身に満ちている。

「ブロックチェーンは単なるテクノロジーではない。人間社会に深遠な変化をもたらすものだ。もともとネットの世界はすべての人がフェアな立場になれるハッピーワールドのはずだったが、大企業がデータやユーザーアセットをカットするようになってしまった。これまでのフリーというのは偽物のフリーだった。ブロックチェーンは真のフリーを実現しうる。」

先月22日、東京大学でスピーチを行ったエンジェル投資家の楊寧は約400人の聴衆を前にブロックチェーンのビジョンをこう語った。先進国の廉価コピー品を大量生産するという過去の中国の姿はもうそこにはない。望もうが望むまいが、我々は開拓者として進化した大国と海を挟んで対峙する。80年代の経済大国という虚構に縋り付き、インターネットの革新を拒絶した日本はあの時と同じ轍を踏むのだろうか。

(参考:https://nulltx.com)