中国で急増するユニコーン企業 スーパーユニコーンは仮想通貨業界にも生息する

ユニコーン企業とは非上場でありながら1000憶円以上の価値があるベンチャー企業の事を言う。日本においては深層学習の制御技術を開発するブリファード・ネットワークス(推計企業価値2326憶円)が該当する。

アメリカのベンチャーキャピタルであるCowboy Ventureが2015年7月に実施した調査によると、過去10年間で平均8社のユニコーン企業が誕生しているが、2003年から2013年で誕生したユニコーン企業は4社のみ。2013年以降ユニコーン企業が急増している事が分かる。

近年ユニコーン企業が増加した背景にはGoogle、Appleといったテックジャイアント達による企業買収の増加が挙げられる。ITの巨人達はその潤沢な資金を活かして有望なスタートアップだと分かれば金に糸目を付けずに買収する。ベンチャーキャピタルもまた将来の大型ディールに備えて積極的にスタートアップに出資する。IPOはもはや大きな資金を得るための唯一の手段ではないのだ。

世界的に増加傾向にあるユニコーンん企業だがとりわけ著しい増加率を見せるのが中国だ。中国科学技術部が3月に公表した「2017年中国ユニコーン企業発展報告」によると、中国の2017年時点のユニコーン企は前年の131社から33社増加し164社だったという。前年比約25%の上昇率で164社の企業価値総額は実に6292億ドル(約67兆円)に上る。中国のユニコーン企業の中でも企業価値が100億ドル超えるスーパーユニコーンは10社だ。

順位企業名企業価値(億ドル)事業内容
1アントファイナンシャル750フィンテック
2滴滴出行560配車サービス
3シャオミ460スマートフォン
4アリババクラウド390クラウドサービス
5美団点評300Eコマース
6寧徳時代新能源科技200新エネ自動車
7今日頭条200メディア、TikTok
8菜鳥網絡200物流
9陸金所185フィンテック
10借貸宝107フィンテック

 

これだけのユニコーン企業を生み出す中国だが、中国の仮想通貨・ブロックチェーン業界には中国科学技術部のレポートには登場しない潜在的なユニコーン企業が幾多とあると言われている。

その筆頭がビットメインだ。昨年8月にビットコインキャッシュをハードフォークしたジーハン・ウー率いるビットメインはマイニング機器の製造およびマイニングファームの運営を手がける。ビットコインのハッシュレートの40%程を支配する世界最大のマイニング企業だ。

売上・利益は非公表だがCNBCの報じたところによると昨年のビットメインの営業利益は30憶ドルから40億ドルと言われており、企業価値は120億ドルと推定されている。すでにスーパーユニコーンの規模だ。


(画像:zycrypto.com)

マイニングを独占したジーハンの野望は留まる事を知らない。ジーハンはブルームバーグのインタビューでマイニング用ASICの開発の次の収益モデルとしてAI事業に注力していく事を語った。世界中のマイナー達は競ってマイニングの採掘アルゴリズムをAIでハッキングして最適化しようと試みている事から、ビットメインンがAIに注力する事は自然な事だと言える。仮にビットメインがAIとマイニングでシナジーを生む事に成功したならば、ビットメインの企業の価値はさらに上がる可能性がある。

豊富な技術者と資金を元に中国では仮想通貨・ブロックチェーン関連事業が数多く生まれている。創業5か月で取引高世界一となったバイナンス(現マルタ)のCEOジャオ・チャンポンを始めとする創業メンバーも皆中国出身だ。仮想通貨・ブロックチェーン関連の潜在的なユニコーン企業の実態と動向に人々の関心が高まっている。