8月21日ユナイテッド本社でCoinage meetup#1「ブロックチェーン業界から見るこれからの働き方」が開催された。
時代の変遷にともない日本でも多様な働き方が提案されるようになってきたが、ブロックチェーン業界でも”働き方”や自分のバリューの作り方について様々な試みが行われている。
今回のMeetup で登壇したのはエンジニアのスカウティングファームのデカルトサーチ合同代表アモニック・パスカル・ヒデキ氏と様々なブロックチェーン系スタートアップに携わってきた勝木健太氏がそれぞれピッチを行った。
始めに登壇したのはパスカル氏。同氏は始めに圧倒的にエンジニア不足なブロックチェーン業界の環境について語った。
昨年エンジニア一人に対して4件の案件があったが今年に入りエンジニア一人に対して14倍の案件があるという。今までは仮想通貨取引所の求人が多かったが近年はエネルギー、保険、流通などの業界にもブロックチェーンエンジニアの需要が広がっているというパスカル氏はブロックチェーンエンジニアの要件(必要なスキル)として分散計算/暗号学/経済学/サイバーセキュリティを挙げた。それに加え英語力も必須になってきているという。また非中央集権的なマインドセットや前例のない問題、答えのない問題に取り組んで行く姿勢もスキルと共に重要だとした。
ブロックチェーンエンジニアの魅力として以下のような点を挙げた。
・使命を帯びたプロジェクトに参加できる事
・業界横断的な技術なため様々な経験が出来る事
・100%成果主義なため自分の仕事が正当に評価される事
・年齢やバックグラウンドに関係なく活躍できる事
・世界中の人々と仕事が出来てビジョンを共有できる事
・ダイナミズムに富む業界であり刺激的な生活が送れる事
さてブロックチェーンエンジニアが魅力的だと言われても世界中の”天才達”と同じ土俵で戦わなければならないのかというとそういう訳でもないようだ。エンジニア向けの様々な開発ツールがあるためブロックチェ―ンエンジニアとして働くハードルは人々が思っている程高くないと強調した。EthereumのTruffleやGoogle DLT ツールキットなどを使えばゼロから開発する必要はなくこれらのツールキットは年々充実してきているという。
各言語の需要としてはEthereum でも利用されるSolidityの需要が最も高く次いでStellarやEOS、NEOの開発案件などが多いという。またエンジニアだけでなくブロックチェーン業界にはデザイン、マーケティング、コンプライアンス、ファシリテーター、人事、コミュニティー管理、PR・広報、ビジネス開発、営業など多数の求人があるという。
次に登壇したのは勝木健太氏.勝木氏はブロックチェーン業界の概説をしトレンドであるセキュリティトークンについても言及した。勝木氏もパスカル氏と同様に開発者のハードルは下がっていると語りエンジニアのための開発用フレームワークとしてConsensysのツールキット、Truffle、OpenZeppelinなどを紹介した。
スマホメーカー小米CEOに雷軍の「風が吹けば豚でも飛べる」を引用し、今後も成長が見込める仮想通貨・ブロックチェーン業界は自分の市場価値を高めるという観点ではタイミング的にも良いという。
自分の価値を高めるという観点から考えると”上りのエスカレーター”に乗るのは良い事だと考えています。またブロックチェーン業界は複数の分野を横断するプロジェクトが多いのでエンジニア以外の求人も多くあり自分の専門分野を掛け合わせる事も魅力です。
特に仮想通貨取引所などではコンプランス対応のために元金融関係者の需要が多いという。またLinked Inなどでは頻繁にスカウティンングが行われており海外企業の日本でのローカルオフィス立ち上げやマーケッティングなどの求人も多いと言う。フルタイムの求人ばかりではなく、複数のプロジェクトに同時並行で携わるという働き方が多いのもこの業界と特徴だと語った。
【アモニック・パスカル・ヒデキ】
デカルトサーチ合同会社・共同代表。東京工業大学大学院情報理工学研究科計算工学専攻卒業。2007年に証券会社を退社し同年12月に同社を設立。日本のスタートアップに対して国内外のエンジニアやITエグゼクティブを紹介して来た。2014年には日本のブロックチェーン業界に特化した求人サイトをリリース。また数々のブロックチェーン関連のスタートアップのアドバイザーとしても従事。
・パスカル氏インタビュー記事
・デカルトサーチ合同会社: http://descartes-search.com/
・サトシズカラー:http://satoshiscollar.jp/
【勝木健太】
1986年生まれ。幼少期7年間をシンガポールで過ごす。京都大学工学部電気電子工学科卒業後、邦銀に入行。法人営業、本店では外貨バランスシート経営の企画、グローバル金融規制対応、各国中央銀行との折衝に従事。外資系コンサルティングファームを経て、2016年12月より監査法人にて、ブロックチェーン技術をはじめとするFinTech領域の戦略立案に従事。
勝木氏が運営する「転職Z」は下記をご参照。