DAOStack 分散型自律組織による新しい経済圏の到来

人治によらないプロトコルが統治する分散型自律組織(Distributed Autonomous Organization)。中央主権を嫌う仮想通貨業界においてリライアブルな分散型自律組織の構築は最も重要な課題の一つだ。

分散型自律組織の中では目標や関心、イデオロギーに合わせて人々が集まり相互協力を通じて社会に貢献するという新しい経済が実現しうる。しばしビットコイナー達が「株式会社がなくなる」と発言する時はこの分散型自律組織の文脈が背景にある。

しかし分散型組織を名乗る大型ICOの多くは一部の人間に権力が集中していたり、そもそも財団が大部分のトークンを保有していたりと人々の期待は幾度となく裏切られてきた。

「ブロックチェーンによる分散型組織の歴史はビットコインに始まり人々は価値の移転が出来るようになりました。次にイーサリウムにより分散型プラットフォームを実現しました。ただ未だに欠けているパズルのピースがあります。それがガバナンスなのです。」  Gnosis CEO マーティン・コッペルマン

分散型組織を作成するためのツール・プラットフォームを提供するDAOStackは長年の業界の悲願を達成するかも知れない。DAOStackは独自のツールキットを提供する事でプロトコルによる効果的なガバナンスの実現を目指している。

DAOStackは分散型自立組織構築のために以下の三つのアイディアに基づいたアプロ―チを行う

各企業はDAOStackの提供するArcというAPIを用いて分散型自律組織を構築できるのだが、Arcはソリディティやブロックチェーンの知識がないフロントエンド開発者でも簡単にアプリを開発できるという。

開発者たちはDAOstackを分散型自律組織作成におけるWordpressだと例え説明する。またArcはスケータビリティ問題も解決しているのが特徴だ。モジューラーを介する事で情報の追加や編集を行う度にブロックチェーンに再展開する事がなく、参照する際にのみブロックチェーンを利用する。この仕組みにより運用コストを削減しセキュリティとスケーラビリティを両立させている。

DAOStackの語るビジョンが実現すれば人々の生活を劇的に変えるかも知れない。分散型自立組織による効果的かつ大規模な意思決定は多くの参加者が資金と資産を共同管理する事を可能にし、それは分散型WIkipediaや分散型投資ファンド、分散型保険ネットワークの到来を示唆する。

また分散型自律組織による適切な利益配分は大規模なコラボレーションも実現出来るかもしれない。数千人のクリエーターやアーティストが参加する映画製作や数万人のエンジニアが関与するオープンソースのソフトウェア開発も分散型自律組織によるフェアな経済的インセンティブにより加速する。

そしてプロトコルによる集団的意思決定のプロセスはホテル、レストラン、記事、ニュースフィード、などあらゆる活動の貢献度を客観的に評価し、参加者に利益が配分される。これが実現すれば仲介者を必要とせず直接ユーザー同士が繋がる事が出来る分散型キュレーションが形成されるだろう。

「人類は長い間部族、ヒエラルキー、市場を基盤に働いてきました。そして今、人類は真のグローバライゼーションを迎えましたが、市場やヒエラルキーが抱えている問題に対処できずにいます。そのため問題を解決する能力を指数関数的に加速させる事が出来なかったとしたら、我々人類は終わりです。私達は人々の協調、意思決定において集団知能のように働くツールキットを発明しなければなりません。それがDAOStackの取り組みなのです。」
DAO Stack Advisor ジョーダン・グリーンホール

DAOStackは現在Talaoなどの幾つかのプロジェクトに採用されており2019年Q3にはGiyhub,Slack,Telegramなどの外部サイトとの互換性も実装する予定だ。

誰しもが気軽に扱えるインテ―フェースで人々が理念や志向に合わせて分散型自律組織を構築する事が出来るようになれば、プロトコル支配の元で人々が効率的に協調しクリエイティビティを発揮できる全く新しい経済圏が実現するかもしれない。

(画像出典:https://daostack.io/ja/home)