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ICO,ETF規制を準備するイスラエル
イスラエル証券局(ISA)は、ICO規制や仮想通貨ETFに関する最終報告を発表しようとしています。2017年8月に設立された委員会は、ISAのアナト・グエッタ(Anat Guetta)議長に報告書を提出しました。
委員会は、仮想通貨ETFの提供、仮想通貨取引用プラットフォームの開発の検討、およびICOと同様の特性を持つモデルの実装に対し、証券取引法に従い開示要件を課すことを推奨しています。
「委員会は、職員のプロ意識を高め、証券局の当該分野への認識を深め、この分野の特徴についての研究を促進させ、適切な規制をするため、当該部署とISAが直接連携することの重要性を認識しています。」
イスラエル証券局
委員会はベンチャー企業に対し、ICOを実行するためにISAにコンタクトを取るよう勧告し、委員会は自身の活動をオープンにし、また柔軟に、そしてできるだけ迅速に検討することを約束しました。
委員会の報告書によると、これまで、一般投資家向け仮想通貨ETFの提供を規制当局が承認した事はありません。
一方、アメリカでは、コインベースのような仮想通貨取引プラットフォームが証券取引委員会の承認を受け、証券ブローカーディーラーを通して仮想通貨のETFを発展させています。他の地域でも例えばFCA(金融行動監視機構: 、英国の金融規制機関)と連携する企業と協力して仮想通貨プラットフォームを開発するジブラルタル、マルタ、スイス、オーストラリア、ロンドン証券取引所などの伝統的な取引所も今後何年かで仮想通貨取引に対して意欲を見せています。
「監視はブロックチェーンの発展に寄与する」
ISAのチーフエコノミストであるギティット・グルゲルシュゴーレン氏は規制は技術の進歩を阻害するものではないと強調します。
「2018年3月に暫定的提案がなされてから、ICOに関して多くの変更がありました。それはイスラエルと海外の規制状況、またビジネスとテクノロジーの環境などによるものです。最も重要なのは、2018年初期の盛り上がりに対してICOが下火になっていることです。現在欧米市場における資金調達は、規制の枠組みに則りSTOと定義されるICOを通して、見識ある投資家を中心に行われています。規制は足枷ではなく貢献に寄与するのです。」
ISAチーフエコノミスト ギティット・グルゲルシュゴーレン
「市場は落ち着いたが、技術はまだ生きている」
ISA議長のグエッタ氏は、以下のように語ります。
「スピーディかつ革新的な仮想通貨分野では、注意深く長期的に物事を検討することで、イノベーション促進の必要性と投資家保護の義務とのバランスを保つ決定をなせるということが、ここ一年で分かりました。この分野では2017年のような興奮は落ち着きましたが、ブロックチェーン技術はまだ生きています。」
同氏は、資本市場における技術革新に対応し援助すること。技術革新は資本市場や経済全体での競争を合理化、改善、そして高めるポテンシャルを持っている事を言及しつつも、投資家保護と事業者との継続的なコミュニケーションの重要性を説きました。
イスラエルビットコイン協会「重要な進歩」
3月7日にISAが発表した報告書について、イスラエルビットコイン協会メニ・ローゼンフェルド(Meni Rosenfeld)議長は次のように述べました。
「報告書は正確かつ専門的になされ、市場の様々なプレイヤーからの注目を集めた。私たちの観点からすると、大事なのはトークンが決済手段として用いられる仮想通貨に擬態することで監視や透明性、買い手への価値提供から逃れられるといったような抜け道を塞いだことです。この重要な前進によって、企業はイスラエルの仮想通貨部門を信頼できるように、また消費者は自身の日常の買い物や企業の株購入を可能にする決済手段を理解できるようになります。
同時に、規制当局にはまだ長い道のりがあります。銀行は、(仮想通貨)企業による口座開設を許可しないでしょう。当該分野での活動を厳しく取り締まる金融サービス提供法の下での指示はまだ確定しておらず、他の課題も残っています。私はイスラエル銀行や政府省庁が証券局をヒントにし、規制に苦しむスタートアップを活発化させることを望んでいます。」
ブロックチェーンフォーラム「サンドボックスは打開策となりうる」
イスラエルブロックチェーンフォーラムのイガル・ネヴォ(Igal Nevo)CEOは、仮想通貨分野ではそれが待ち望まれていたとし、委員会の最終案を歓迎しました。また技術の進歩のためにサンドボックスの重要性も説きました。
「ブロックチェーン分野では基礎的な規制の枠組みが待ち望まれています。ISAの提案が重要な一歩であることは確かです。ブロックチェーンフォーラムでは、当該分野のリーダー企業がISAと直接連絡を取りあうよう、また可能な時はいつでもサンドボックスに参入することを勧めます。」
【OLちゃんコメント】:
前例のない技術や概念で、また極めて流れが早いブロックチェーン、仮想通貨領域において、それを規制する側である当局は、何を規制あるいは推進し、またそれをどのように実現するのか、といったようなハードな判断と実行が求められます。その中でイスラエルは、アメリカやロシアなどと同じように、委員会を設置し、慎重かつ迅速に市場を観察する、ということから始めました。
その上でイスラエル規制当局は、現場との対話が重要だと捉え、それと表明すると共に規制サンドボックスという形で実行しようとしているところは高く評価できると感じました。
一方で、シンガポールやマルタ、エストニアなどのブロックチェーン企業が多く集まる国と同様に、銀行がブロックチェーン企業の口座開設を妨げるといった課題が残るようです。
記事中にあるように、私も「規制・監視は発展を阻害するよりもむしろ発展に寄与する」と思います。2019年のはじめから、世界各国で規制サンドボックスの取り組みが発表されていますが、その中でいかにその仕組みの中に有望なプロジェクトを呼び込み、緊密に連携し、スピーディにこの分野の発展に繋げていけるか、ということが今後のこの分野における国際的な競争力に直結するのではないでしょうか。またこうした動きによって、現在の課題も解決に向けて進んでいくように思います。

ソース:https://en.globes.co.il/en/article-isa-publishes-cryptocurrency-ipo-regulations-1001277152