Innovators File#2 東京チャプター Nicholas Lee「あなたの知らないブロックチェーンによる新しいコミュニティの形」

六本木桧町公園に傍接する閑静な住宅街にひっそりと佇むninetytwo13 by Tokyo Chapterは特別な求心力を放っている。2017年にオープンしたこのシェアハウス兼シェアオフィスでは世界各国から集まった企業家、アーティスト、ブロックチェーン技術者たちにより創造的なコミュニティが形成されている。訪れた人々はまずニューヨークのペントハウスのような洗練された内装に圧倒される。年代物の映写機やトラベルバックは思いがけない記憶の邂逅をもたらし、天井に張り巡らされた各言語のビットコイン・ホワイトペーパーは人々の創造性を刺激する。

2000年代初頭、シリコンバレーのインターネットバブルを駆け抜けた企業家が今回東京で仕掛けたのは「いつも何かが始まる場所」。Innovators File第二回では東京チャプター創設者のニコラス・リー氏の語る「ブロックチェーンが作る新しいコミュニティの形」に迫る。

 

Q:まずニコラスさんの経歴を簡単に教えていただけますか?

リー:私は元々韓国出身で1歳の時に家族とニューヨークに移住しました。子供の頃は所謂ガリ勉でした。部活は数学と物理をやっていてマースオリンピアに出場したりしていました。大学はスタンフォード大学に行き産業工学と経済を専攻しましたのですが、シリコンバレーという土地柄、周りの影響もあってベンチャーをやりたいと思うようになり大学院を卒業後すぐに企業しました。

2000年にフェイスブックのようなSNSを作ったのですが、アイデアとしては早すぎたのとドットコムバブルの不安定な時期だったのでタイミングも悪かったです。また当時はインターネットの広告モデルが倦厭されて始めていて、ユーザー数を集めて広告を出すというビジネスモデルは絶対アウトという雰囲気すらありました。国際的なSNSというコンセプトだったので海外の人とコミュニケーションを取るための機械翻訳も開発しており、広告モデルが難しいと分かってからは機械翻訳のライセンスにビジネスモデルをシフトしました。サンフランシスコに本社を構えて日本とドイツに支社があったのですが日本支社が好調で忙しくなり一年の内半分は日本にいるようになりました。バブルがはじけた後は不動産業界に行きました。

Q:東京チャプターではビットコインキャッシュでの支払いが可能との事ですが、仮想通貨には早くから携わっていたのですか?

リー:知人のロジャー・ヴィアに教えてもらったのが始まりです。面白いとは思ったものの、ビットコインの黎明期にはMLM(マルチレベルマーケッティング)的な広報もあった事から始めは警戒していました。一方でずっと観察していて「どこかに本当のValueがあるのではないか。ピラミッドスキームだったらすぐに終わっていたはずなのに。」とも思っていました。

実際に仮想通貨を使い始めたのは最近で2017年の初頭です。東京チャプターの家賃のビットコインで支払いたいという人がいたので受け付けたのが始まりです。実際に使い始めると技術的な価値や可能性を実感しました。東京チャプターのテナントには海外を行き来する人が多いので、海外送金の際には明らかな利便性があります。銀行送金だと手数料も高く手続きにも時間がかかりますから。

Q:仮想通貨には主にイデオロギー、ユーザビリティ、テクのロジーの側面があります。ニックさんはユーザビリティから入ったのですね。

リー:はじめはユーザビリティでしたね。でも今はイデオロギーの側面が強いです。仲介者のいない分散化されたネットワークというアイデアは社会を大きく変えると思っています。現在フェイスブック、グーグル、アマゾン等の大企業は人々の殆どの情報を持っていますが、自分達の情報を特定の企業に預けていると彼らが自分の情報やアイデンティティをコントロール出来てしまうという問題があります。アリペイ至っては資産すらコントロール出来てしまいますよね。

ブロックチェーンがあれば自分たちでコントロール出来るようになりますし、仲介者業者もこれからどんどん減っていくと思います。セキュリティ、ガバナンスにおいて解決すべき課題は残っていますが、ブロックチェーンを使えばインセンティブシステムも上手く構築出来るので、ビジネスの在り方も変わってくると思います。

Q:東京チャプターはブロックチェーン業界の人達が多く集まる場所として作ったのですか?

リー:もともと意味ある人間関係を作るというコンセプトで東京チャプターを作ったのですが、ブロックチェーンはそれを実現するための助けになります。ブロックチェーンにより仲介者の必要がなくなり直接的なコミュニケーションが促進されれば、誰かに支配される事なく自分達で独自のコミュニティを作りやすくなりますから。そのため東京チャプターではミートアップやハッカソンを通じてAIやブロックチェーンのコミュニティを育てていますが、もちろんそれ以外の人達に対して排他的という事は全くありません。映画会社やアート関連の会社もテナントで入っていますよ。

Q:日本のビジネスシーンはいかがでしょうか?

リー:非常にやりやすいです。文化の違いはありますが、それが問題だと思った事はありません。18年前来日した時に比べ国際化が進んでオープンになって来ているのもいい事だと思います。また当時は安定のために大企業を目指す人が多かったのですが、最近はフリーランスやベンチャー志向の人達が増えて来たと感じます。あと驚いたのが仮想通貨に関して日本政府がプログレッシブなスタンスをとった事です。世界に先駆けて建設的な法整備を進めた事には感動しました。インターネット黎明期では日本政府はそうではなかったので。とにかくブロックチェーンによる社会の改革はもう止められないです(笑)。

 

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